2022/11/6 #007 谷村志穂

■放送後記(2022/11/28 更新) ※クリックすると放送後記をご覧になれます。

『SESSIONS』vol.7~収録を終えて~

《ゲスト:谷村志穂さん》

「多くの方にお力をお借りしたが、文責は言うまでもなく、すべて著者にある」

谷村志穂さんは、自著の「あとがき」の最後、必ずその記述をする。

そこには、ひとつの作品を最後まで書き終えた、

作家の「志」と「覚悟」を感じ、私は毎回、本を閉じる。

文庫化された『セバット・ソング』新刊の『過怠』は、希望の作品であり、

気持ちの深い場所まで届いた小説だった。

多くの人に読んでもらいたい。

たくさんの人、一人ひとりの気持ちがそれぞれに動く物語だから。

放送の中で、私が告白した「作家デビュー後、早い時期に書かれた『十四歳のエンゲージ』を、

自分は青春の時期ではなく大人になってから読んだ。

この本と出合う時期だったと感じた。1991年刊行のこの本は

今の自分にとって新刊でした。会えて、読むことができて良かった」と。

私の心のポケットの中には、十代半ばの拳を握りしめて歩いている、

唇を血が出るほど噛みしめている、悔しがってばかりいる、暗い目をした自分が潜んでいる。

「おまえ、今、生きているのか」「ちゃんと呼吸しているのか」って過去の自分が睨んでいる。

『十四歳のエンゲージ』を読みながら、心のポケットにある石ころに触れた気がした。

谷村さんは「避けて通るわけにはいかない」「読まないわけにはいかない」作家である。

きっと、これからも一期一会のような気持ちの高鳴りの中、谷村さんの本のページを開く事だろう。

そして、また高崎の街を歩きたい。田野内さんと私の番組、『セッションズ』で音楽を聴きながら、語っていただきたい

そう願っています。

相原 透

■SETLIST(2022/11/28 更新)※クリックするとSETLISTをご覧になれます。

・Joni Mitchell / Big Yellow Taxi (BGM)
・キリンジ / エイリアンズ
・レナード・コーヘン / ハレルヤ 
・ブルーノ・マーズ / トーキング・トゥ・ザ・ムーン
・松井常松 / 鳥たちのセバット
・松田優作 / ダーリンすべてを忘れようじゃないか
・トム・ウェイツ / クロージングタイム
・Joni Mitchell / Big Yellow Taxi (BGM)